2020年はダイビング透明度の「当たり年」だった?コロナの影響か

2026-03-16

2020年はCOVID-19の影響で世界中の人間活動が大幅に減少しました。船舶交通の減少や観光客の激減は海の透明度に影響したのでしょうか?伊豆半島のダイビングログを分析すると、2020年は確かに一部のスポットで透明度が向上していました。しかし、その原因は「コロナ効果」なのか、それとも自然な海洋変動なのか。データから検証します。

14.3m

IOP 2020年

8.8m

平沢 2020年

12.2m

富戸 2020年

伊豆海洋公園(IOP)の年別透明度推移

平均透明度
201713.5m
201813.8m
201914.2m
202014.3m
202112.8m
202213.1m
202313.6m

IOPでは2020年は14.3mで2019年(14.2m)とほぼ同水準。ただし2021年に12.8mまで低下しており、2020年が相対的に良い年であったことは確かです。

スポット別 2019-2021年比較

スポット2019202020212019→2020差
伊豆海洋公園14.2m14.3m12.8m+0.1m
平沢7.9m8.8m7.5m+0.9m
富戸11.5m12.2m10.8m+0.7m

平沢(+0.9m)と富戸(+0.7m)は比較的大きな改善。IOPは+0.1mとほぼ変わらず。

コロナが透明度を改善した?検証

コロナ影響説の根拠

2020年の緊急事態宣言期間中は船舶交通が減少し、レジャーボートやダイビングボートの稼働も大幅に減りました。船舶のプロペラによる底砂の巻き上げや排水が減少し、沿岸水質が改善した可能性はあります。特に港に近い平沢(+0.9m)で効果が大きかったことはこの仮説と一致します。

自然変動説の根拠

しかし、IOPの改善はわずか+0.1mで、コロナの影響とは言い難い水準です。年間平均透明度は自然な海洋変動で1〜2m変動することが珍しくなく、2020年の改善は通常の変動範囲内と見ることもできます。2017年以降の黒潮大蛇行の変動も影響している可能性があります。

報告バイアスの可能性

2020年はダイビング自体が激減したため、海況が良い日にだけ営業・ログ記録をしたショップが多かった可能性があります。つまり「悪い日のデータが欠落」しているため、平均が高く出ているだけかもしれません。

結論:コロナ効果は不確実、自然変動が有力

2020年の透明度改善は事実ですが、その原因をCOVIDに帰属させるのは時期尚早です。改善幅が小さい(IOPで+0.1m)こと、年間の自然変動範囲内であること、報告バイアスの可能性があることから、「コロナで海がきれいになった」という結論には至りません。むしろ、2019→2020の微増と2020→2021の大幅減少(-1.5m)を見ると、自然な海洋環境の変動の方がはるかに大きな影響を持っています。

データからの学び

  • ダイビング透明度は年単位で1〜2m変動するのが普通。単年の比較で結論を出すのは危険。
  • 黒潮の流路変動、台風の頻度と経路、降水量など自然要因の影響が人間活動よりはるかに大きい。
  • 長期トレンドを見るには最低5〜10年のデータが必要。このプロジェクトでデータを蓄積し続ける意義がここにあります。

データについて

伊豆海洋公園(IOP)、平沢、富戸のダイビングショップ日報から年別平均透明度を算出。IOPは各年300〜500件、平沢は200〜400件、富戸は300〜500件程度の観測数です。2020年はコロナ禍で観測数が減少しており、サンプルバイアスの可能性があります。

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