衛星データからダイビングの透明度を読む方法:kd490・クロロフィルと実測値の関係
2026-03-11
NASAとNOAAは毎日、人工衛星による海洋光学データを公開しています。この中の「kd490」(490nm光の拡散減衰係数)は、海中の濁りを示す指標で、ダイビングの透明度と密接な関係があります。46,000件以上以上のダイビング観測データと衛星データを照合した結果、kd490が0.05未満の日は平均透明度19.9m、0.20以上では7.7mという明確な相関が見えてきました。
kd490とは何か
kd490(単位: m⁻¹)は、海中で490nmの青緑色光が1m深くなるごとにどれだけ減衰するかを表します。値が小さいほど光が透過しやすく、水が澄んでいることを意味します。
- kd490 < 0.05:非常にクリア(外洋・黒潮上)
- kd490 0.05〜0.10:クリア(多くの太平洋岸サイト)
- kd490 0.10〜0.15:普通〜やや濁り(春濁り期のIOP等)
- kd490 > 0.20:濁り(特殊な高濁度状態)
データソース:NOAA ERDDAP(erdSW1chlamday, erdSW1_kd490_8day)。8日合成データを各観測日に割り当て。
kd490と透明度の関係(43,992件)
| kd490値 | 観測数 | 平均透明度 | 透明度バー |
|---|---|---|---|
| < 0.05(非常にクリア) | 7,713 | 19.9m | |
| 0.05〜0.10(クリア) | 23,648 | 13m | |
| 0.10〜0.15(普通) | 8,829 | 10.3m | |
| 0.15〜0.20(やや濁り) | 1,786 | 8.9m | |
| ≥ 0.20(濁り) | 1,016 | 7.7m |
主要発見
kd490 < 0.05の日(非常にクリア)の平均透明度19.9mに対し、kd490 ≥ 0.20の日(高濁度)は7.7m。衛星が示す光学的な水の清澄度は実際のダイビング透明度と12.2mの差を生む。
クロロフィルa濃度と透明度の関係(9,512件)
| クロロフィル濃度 | 観測数 | 平均透明度 |
|---|---|---|
| < 0.1 mg/m³ | 29 | 16.9m |
| 0.1〜0.3 mg/m³ | 3,651 | 14.7m |
| 0.3〜0.6 mg/m³ | 4,390 | 12.9m |
| 0.6〜1.0 mg/m³ | 1,072 | 11.3m |
| ≥ 1.0 mg/m³ | 370 | 11m |
クロロフィル < 0.1mg/m³はサンプル数29件と少ないため参考値。衛星クロロフィルのマッチング件数はkd490より少ない(サイト・季節により欠損あり)。
実例:伊豆海洋公園の月別kd490と透明度(3,058件)
春濁り(4月のkd490ピーク0.1094)は衛星データに明確に現れる。kd490が上がると透明度が下がる季節パターンが確認できる。
| 月 | kd490 | 透明度 | 観測数 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 0.0674 | 18.6m | 278 |
| 2月 | 0.0621 | 17.9m | 209 |
| 3月 | 0.0796 | 13.7m | 240 |
| 4月 | 0.1094 | 10.1m | 232 |
| 5月 | 0.1003 | 10.6m | 246 |
| 6月 | 0.0853 | 11.3m | 213 |
| 7月 | 0.0951 | 11.6m | 270 |
| 8月 | 0.0752 | 12.3m | 279 |
| 9月 | 0.0797 | 12.7m | 276 |
| 10月 | 0.0953 | 13.7m | 270 |
| 11月 | 0.0899 | 14.7m | 278 |
| 12月 | 0.0949 | 17.3m | 294 |
主要サイトのkd490参照値
| スポット | 年均kd490 | 年均透明度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 与那国島 | 0.035 | 24.5m | 黒潮直上・最高水準 |
| 八丈島 | 0.058 | 17.7m | 外洋離島 |
| 秋の浜 | 0.066 | 14.3m | 外洋離島 |
| 伊豆海洋公園 | 0.087 | 13.8m | 太平洋岸(平均) |
| 越前 | 0.079 | 7.5m | 日本海(夏季偏り) |
実践:ダイブ前に衛星データを確認する方法
このサイトのAI予報を使う(最も簡単)
当サイトのAIモデルはkd490・クロロフィル衛星データを自動取得して透明度予測に組み込んでいます。ホームページで各スポットの7日先予報を確認してください。
NOAA ERDDAPで直接確認(上級者向け)
NOAA ERDDAPではkd490(erdSW1_kd490_8day)やクロロフィル(erdSW1chlamday)を地図表示できます。特定スポットの座標を入力して8日合成データを取得。kd490が0.05〜0.07以下なら高透明度の可能性が高い。
衛星データの限界
- 雲があると衛星測定ができない。梅雨・台風シーズンは欠測が増える
- kd490は水面付近の光学特性を測定。深い場所の透明度は必ずしも一致しない
- 8日合成データのため、台風通過直後などの急激な変化を捉えにくい
- サイトによってはkd490とダイビング透明度の相関が弱い場合がある(大瀬崎湾内など閉鎖湾)
- AIモデルでのkd490の重要度(Feature Importance)は高いが、それだけで透明度を決定するわけではない
データについて
ダイビング透明度:2015〜2026年のダイビングショップ日報(46,000件以上以上)。衛星kd490:NOAA ERDDAP erdSW1_kd490_8day(SeaWiFS/MODIS)。クロロフィル:erdSW1chlamday。観測日にもっとも近い8日合成データをサイト座標でマッチング。kd490のマッチング件数43,992件、クロロフィルのマッチング9,512件。